★島ことばの散歩道

=横山晶子

◎記録のしかた、調査・相談承ります

 2月22日、23日の危機言語サミット奄美大会は、大盛況の元に幕を閉じた。1日目は唄を通じた継承をテーマに、アイヌ・奄美・沖縄・サーミの音楽が披露され、2日目は幼稚園・小中学校・家族・民間の取り組みが紹介された。千人もの来場者があったそうで、会場も熱気に包まれたが、懇親会で次々と「次回開催はうちに!」と立候補が出て、全国各地から集まった人達が「一緒に頑張りましょう」と手を取り合ったのが印象的だった。

 2日目に取り組みの総括を行った狩俣繁久教授(琉球大学)は「どの取り組みを素晴らしいが、現時点では『入り口』の活動が多い。点から面へ(地域)、面から層へ(世代)へ活動を広げていって欲しい」と述べた。言語継承は根気がいる取り組みで、言語復興が軌道に乗ったハワイ語でも30年くらいはかかっている。地域・保護者・行政・学校の「四輪」が力を合わせて、楽しい活動が続いていってほしいと願う。

 さて、イベントの内外で、多くの方と話す機会があり、自分たちの島ことばを記録したいと思いながら、具体的な方法が分からないというご意見を頂いた。そこで一つのご参考に、方言研究者が地域言語を記録する時に、特に大事にしている調査を紹介したい。

 【島ことばの記録のしかた】

 (1)基本的な単語の記録 目、耳、鼻などの身体語彙、木、風、水などの自然語彙など、日常生活の中で使うことが多い語彙を、方言で何というか記録する。この記録をすることで、物の名前が分かるだけでなく、その方言でどのような「音」が使われているかが分かる。

 (2)助詞を含む例文 「太郎がご飯を食べた」「太郎が花子にミカンをあげた」など、「が、を、に、の」などの助詞を含む例文を、方言で何というか記録する。この調査をすることで、単語だけでなく文を組み立てる仕組みを理解できる。

 (3)動詞や形容詞の活用 「書く」「書かない」「書いた」など動詞の色々な変化形や、「きれい」「きれいな」「きれいだった」など、形容詞の色々な変化を、方言で何というか記録する。この調査をすることで、様々な動作や出来事の描写が出来るようになる。

 (四)自然に話すお喋りの記録 例文を方言に訳するのではなく、方言で自然にお喋りしているところを録音・書き起こしする。この記録をすることで、共通語の翻訳からは出て来ない独特な表現や、あいづちなど、本来の方言の姿を記録することができる。

 この他にも、敬語や物の指し方など、色々な言葉の記録があり得る。こうした記録を、出来れば文字だけでなく、音や映像で残してほしい。自分たちだけで記録が難しい場合は、研究者が調査させて頂くこともできるし、以前の連載で紹介したように、調査や録音の手法を情報提供することもできる。  もし、自分たちの言葉を記録したい、または記録の方法を知りたいという方は、連絡先を記載の上、左記までご連絡ください。Twitter: @erabumuni

▽写真説明

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危機言語サミットを締めくくった八月踊り=23日、奄美文化センター

えらぶむに ©2020. Photo: ARISA KASAI